リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。ガジェットやテクノロジー、ゲームにYouTubeやTikTokまで、ありとあらゆる「エンタメ×テクノロジー」に囲まれて過ごす編集部のスタッフが、リレー形式で毎週その身に起こったことや最近見て・試してよかったモノ・コトについて気軽に記していく。
参考:【画像】「召使」の半生を追体験するようなショートアニメ「燼中歌」
第22回は、ひとつ積みゲーを消化すると別の魅力的な作品が複数積み上がっているという怪奇現象に悩まされている、ゲーム担当の片村がお送りします。
今回はHoYoverseによるオープンワールドRPG『原神』に新たに登場する「召使」アルレッキーノのショートアニメ「燼中歌」(フルver.)について思ったことを書き連ねていこうと思うのですが、前提として、筆者は映像表現やテクノロジーに明るいわけではありません。着眼点に素人感が出てしまうこともあるかもしれませんが、“ゲーム側の人間”の率直な感じ方として受け取ってもらえたら幸いです。
さて、予防線も張ったところで、本題に入っていきます。4月17日にYouTubeで公開された『【原神】ショートアニメ「燼中歌」(フルver.)』。ファデュイの執行官4位の「召使」アルレッキーノのプレイアブル実装に先がけ、その生い立ちなどが明かされる内容でした。
キャラクターの掘り下げが行われることもシンプルに楽しみでしたが、なによりアニメムービーの完成度に驚かされました。同作においてガッツリとアニメを出したのは昨年1月に公開された「海灯祭PV」以来かと思います。それ以前にもいくつかアニメPVは出していますが、いずれも1~2分程度のもの。今回の「燼中歌」はまさかの7分という長尺で、「壁炉の家」(ハウス・オブ・ハース)での過去から現在につながる物語を描いていました。
アルレッキーノの人間性や生い立ちについては、これまでの登場シーンなどからなんとなく思い描いていたものに近く、驚きはなかった一方、本名と思われる「ペルヴェーレ」であったり、なぜアルレッキーノがリネたちに「お父様」と呼ばせているのか(こちらはまだ推測ですが)であったり、初出の情報も盛りだくさん。毎話20分超のアニメシリーズなどと比べれば、7分も短い部類ではありますが、そのなかにのどかな日々、子どもたちに芽生えた友情、「お母様」の冷徹さと狂気、感情をむき出しにするペルヴェーレ、執行官となったときの一場面と、ありとあらゆる要素が詰め込まれていました。空気感を静かに伝えるシーンと躍動感あふれる戦闘シーンのメリハリも凄まじく、アルレッキーノが歩んだ人生を追体験するような構成に、引き込まれた人も多いことかと思います。
■「燼中歌」から感じたHoYoverseの強い意思
今回のショートアニメから感じたのは、ゲーム制作だけにとどまらないHoYoverseの総合力、そして「オリジナルIPを作り、育てていく」ことへの強い意思でした。HoYoverseのアニメといえば『崩壊3rd』の節目で公開されてきた「最後の授業」や「永遠なる薪炎」なども映像と音楽、そして声優の演技が見事に噛み合い、初視聴当時に未プレイだった筆者も最後まで目が離せなかったことを覚えています(描写の構図において「Fate」シリーズへの、演出面では『天元突破グレンラガン』『キルラキル』へのリスペクトを多分に感じることも理由かもしれません)。
未プレイ層でもストーリー性を感じることができ、映像としてのクオリティーもたしかな「燼中歌」は、新たに実装されるアルレッキーノへの期待を高めるだけでなく、その先の『原神』や「崩壊」シリーズ、そして今年サービス開始予定の『ゼンレスゾーンゼロ』への注目度を高める効果もあったのではないでしょうか。少なくとも個人的には、最近あまり使わずに貯め込んでいた原石が、祈願に吸い込まれていく予感がしています。
(文=片村光博)
(出典 news.nicovideo.jp)
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